心臓血管外科
心臓、大動脈、四肢動脈・静脈などの疾患を外科的に治療する部門です。人工心肺などの補助手段を用いる心臓・胸部大血管部門と腹部大血管・末梢血管部門に分類されます。心臓血管疾患は動脈硬化など同じ病因で併発し易いため、両部門は共同で治療を進めていきます。心臓血管手術の目標は心臓機能や症状の改善と、突然死予防と、救命であり、結果として生命予後の改善につながります。
当院の心臓血管外科は1982年に救命救急センター発足と同時に本格的診療を開始いたしました。翌年には県下初の内胸動脈使用冠動脈バイパス手術を成功し、以後、難治性心不全に対する補助人工心臓治療、心房細動への外科手術、小開胸心拍動下冠動脈バイパス手術、大動脈ステントグラフト治療などを先駆けて行ってきました。2013年3月には愛知県内初のハイブリッド手術室を増設し、低侵襲手術と医療安全の推進を図っています。
当科は進取の意識を持ちつつ、長期結果を見据えて、安全に標準的外科治療を行うことを目標としています。循環器診療に対応可能な新鋭機器の充実したセンターが完備し、業務全般で循環器内科との連携、手術麻酔や術後管理を担う麻酔科・集中治療部門との連携、血管内治療での放射線科や放射線室との連携、体外循環操作など機器操作全般をサポートする臨床工学室、心臓・大血管リハビリテーションなど手術前後の理学療法における理学療法室との連携など充実したチーム医療体制が特徴です。
当院の心臓血管外科は1982年に救命救急センター発足と同時に本格的診療を開始いたしました。翌年には県下初の内胸動脈使用冠動脈バイパス手術を成功し、以後、難治性心不全に対する補助人工心臓治療、心房細動への外科手術、小開胸心拍動下冠動脈バイパス手術、大動脈ステントグラフト治療などを先駆けて行ってきました。2013年3月には愛知県内初のハイブリッド手術室を増設し、低侵襲手術と医療安全の推進を図っています。
当科は進取の意識を持ちつつ、長期結果を見据えて、安全に標準的外科治療を行うことを目標としています。循環器診療に対応可能な新鋭機器の充実したセンターが完備し、業務全般で循環器内科との連携、手術麻酔や術後管理を担う麻酔科・集中治療部門との連携、血管内治療での放射線科や放射線室との連携、体外循環操作など機器操作全般をサポートする臨床工学室、心臓・大血管リハビリテーションなど手術前後の理学療法における理学療法室との連携など充実したチーム医療体制が特徴です。
副院長 湯浅 毅
診療内容と対象疾患
主として成人を対象として手術治療を行っています。疾患は狭心症など虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、大動脈疾患、閉塞性動脈硬化症などの末梢動脈疾患、下肢静脈瘤などの静脈疾患があります。大動脈・末梢血管疾患に対しては循環器内科・放射線科と協同して血管内治療を行っています。緊急手術は24時間対応で岡崎・幸田医療圏を越えて手術依頼をいただいています。近年では手術成績も安定し、予定心臓胸部大血管手術の平均手術・在院死亡率は2%以下になっています。手術の安全性確保と負担軽減に努め、患者さんの人生に最適な治療選択となるように心掛けています。
高齢化社会の到来で、80歳以上で心臓手術をされるお元気な高齢者も増えています。心臓手術の本質は機能回復手術なので、精密な術前検査を行い、手術の適否を総合的に判断しています。当科の疾患は生命に直結して患者さんの人生を左右します。特に弁膜症や大動脈瘤は長年にわたって無症状で病気が進行し、薬物治療では効果に限界があります。適確に病気の進行状況を評価して遅滞なく手術治療を考慮することが、突然死や緊急手術を回避して活動性を維持した生活をするポイントだと考えます。緊急手術は当科において最大の危険因子です。手術治療を考えたら、手術を理解するために一度受診されることをお勧めします。
高齢化社会の到来で、80歳以上で心臓手術をされるお元気な高齢者も増えています。心臓手術の本質は機能回復手術なので、精密な術前検査を行い、手術の適否を総合的に判断しています。当科の疾患は生命に直結して患者さんの人生を左右します。特に弁膜症や大動脈瘤は長年にわたって無症状で病気が進行し、薬物治療では効果に限界があります。適確に病気の進行状況を評価して遅滞なく手術治療を考慮することが、突然死や緊急手術を回避して活動性を維持した生活をするポイントだと考えます。緊急手術は当科において最大の危険因子です。手術治療を考えたら、手術を理解するために一度受診されることをお勧めします。
虚血性心疾患:狭心症など
冠動脈バイパス手術では高齢者や全身動脈硬化の強い患者さんには負担の軽い人工心肺不使用のオフポンプ方式を選択しています。低心機能の場合は、適宜人工心肺補助を行って安全な手術遂行を第一としています。
心臓弁膜症:大動脈弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症など
弁膜症手術では人工弁と比較して機能に勝る自己弁温存を図る弁形成術に努めています。人工弁置換術の際は患者さんの人生設計と相談しながら機械弁か生体弁の選択をしています。MICS(小開胸心臓手術)にも取り組んでいます。心房細動を合併した場合はメイズ手術を併施して洞調律回復を目指しています。
大動脈疾患:大動脈瘤、大動脈解離など
大動脈疾患は手術侵襲が大きいことが課題ですが、従来の人工血管置換術に加え、胸部・腹部大動脈の両者で負担の軽いステントグラフト治療を導入し、高齢者や合併疾患の多い患者さんにも治療適応を拡げています。ハイブリッド手術室の稼働後は、分枝再建を要する複雑型にも治療を開始しました。ほか、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂など時間を争う緊急手術にも対応しています。
末梢血管疾患:閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤など
動脈硬化疾患が増加して複雑な病態を呈するようになりました。末梢血管疾患では、循環器内科、放射線科など関連科と治療方針を検討し、手術と血管内治療を組み合わせるハイブリッド治療を行い、血流改善による四肢の機能回復に努めています。また、下肢静脈瘤手術ではラジオ波による血管内焼灼術に取り組み、病状により日帰り手術も開始しました。
不整脈デバイス関連疾患:ペースメーカーなど
ペースメーカーなど不整脈デバイス治療は、生活の質(QOL)を大いに向上させる優れた治療法ですが、人工物移植という宿命を背負います。移植後も数年ごとの電池交換の必要があり、リード不全やデバイス感染などに留意する必要があります。近年ではデバイス感染の増加が広く認識されており、その治療にはシステム摘出術が考慮されます。当院では、エキシマレーザー装置を導入し、循環器内科と協同してレーザーシースによるリード抜去術を行っています。リスクを伴う手術なので緊急心臓手術にも対応可能なハイブリッド手術室で行います。
診療体制
ハイブリッド手術室
2013年3月にハイブリッド手術室(総面積112m2)が手術室エリアで稼働しました。これは冠動脈造影が可能な高性能血管撮影装置が常設され、心臓手術が可能な清潔度の高い手術室です。低侵襲なカテーテル治療と通常の手術治療が移動することなく1か所で可能であり、これらを組み合わせたハイブリッド治療に適しています。
具体的には、大動脈ステントグラフト移植術、急性大動脈解離手術、末梢動脈血行再建術、ペースメーカー関連手術、血管損傷を含む重症外傷手術などに使用しています。また、この手術室の特徴として急変や術中合併症発生の際に診断能力や対応能力が高く、医療安全度が高いことがあると考えています。
具体的には、大動脈ステントグラフト移植術、急性大動脈解離手術、末梢動脈血行再建術、ペースメーカー関連手術、血管損傷を含む重症外傷手術などに使用しています。また、この手術室の特徴として急変や術中合併症発生の際に診断能力や対応能力が高く、医療安全度が高いことがあると考えています。
チーム医療:ハートチームとハイブリッド治療
複数の治療手技を組み合わせるハイブリッド治療という言葉が生まれたように、最近では治療手段の高度化、複雑化、多様化のため、医療者ひとりで治療を完遂することが困難になってきました。よって、各医療者がその専門能力を発揮し、専門科、職種を超えて融合させることによってひとつの医療を担うチーム医療の重要性が認識されるようになりました。前述のハイブリッド手術室はその実践場であり、当科に加えて循環器内科、放射線科、麻酔科、看護師、臨床工学技士、診療放射線技師、臨床検査技師など多人数が一同に会して、技を組み合わせたハイブリッド治療にあたっています。
日常診療においても、当科と循環器内科は同じ病棟で業務を行っており、術前管理から退院後まで良好な意思疎通のもとで業務を遂行しています。近年では、循環器診療の学会ガイドラインでも内科と外科が協同して診療にあたるハートチームという概念が謳われています。また、当院では循環器当直体制を実施しており、循環器内科医か心臓外科医が24時間常駐し、入院・外来を問わず循環器疾患に対する緊急対応をしています。
日常診療においても、当科と循環器内科は同じ病棟で業務を行っており、術前管理から退院後まで良好な意思疎通のもとで業務を遂行しています。近年では、循環器診療の学会ガイドラインでも内科と外科が協同して診療にあたるハートチームという概念が謳われています。また、当院では循環器当直体制を実施しており、循環器内科医か心臓外科医が24時間常駐し、入院・外来を問わず循環器疾患に対する緊急対応をしています。
輸血対応
心臓大血管手術の際は出血が多くなるため、輸血管理が重要です。輸血回避や輸血量節減のために、術前自己血貯血法や術中回収法を実施して輸血回避に努めています。
外来担当表
2022年4月1日現在
診察室 | 月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
B5 | 午前 | 湯浅 (心臓・大血管) |
長谷川(第1.3.5) (血管) 心臓外科医(第2.4) (心臓・大血管) |
江田 (心臓・大血管) |
堀内 (心臓・大血管) |
水谷 (心臓・大血管) |
午後 | - | - | - | - | - | |
B6 | 午前 | - | 保浦(第1.3) 湯浅(第2.4.5) (心臓・大血管) |
- | - | |
午後 | 坂野(第2.4) (血管) |
- | - | 心雑音・弁膜症外来 |
出張・手術などにより休診や代診の場合がありますので心臓血管外科受付にご確認ください。
医師紹介
常勤医
医師名 | 資格等 |
湯浅 毅 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 日本胸部外科学会認定医 日本循環器学会循環器専門医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 臨床研修指導医講習会受講者 レーザ心内リード抜去システムトレーニング終了 日本心臓血管外科学会国際会員 診療情報管理士 施設基準管理士(No. 240150) |
水谷 真一 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 日本胸部外科学会評議員 日本胸部外科学会認定医 臨床研修指導医講習会受講者 日本心臓血管外科学会国際会員 |
薦田 さつき | 日本外科学会認定医・専門医 日本胸部外科学会認定医 日本循環器学会循環器専門医 日本心臓血管外科学会国際会員 日本心臓血管外科学会評議員 日本血栓止血学会認定医 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医 弾性ストッキング・圧迫療法コンダクター 臨床研修指導医講習会受講者 緩和ケア研修会修了 |
江田 匡仁 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 臨床研修指導医講習会受講者 日本心臓血管外科学会国際会員 関西胸部外科学会評議員 Da Vinci Patient Side Surgeon |
堀内 和隆 | 日本外科学会認定医・専門医 日本胸部外科学会認定医 日本循環器学会循環器専門医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 日本脈管学会脈管専門医 腹部大動脈ステンドグラフト実施医 胸部大動脈ステンドグラフト実施医 臨床研修指導医講習会受講者 |
櫻井 裕介 | 日本外科学会専門医 |
非常勤医
医師名 | 資格等 |
保浦 賢三 | 日本胸部外科学会認定医・指導医 日本循環器学会循環器専門医 心臓血管外科名誉専門医 日本心臓血管外科学会国際会員 臨床研修指導医講習会受講者 |
長谷川 雅彦 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 日本脈管学会脈管専門医 胸部大動脈ステンドグラフト指導医 腹部大動脈ステントグラフト指導医 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医 臨床研修指導医講習会受講者 弾性ストッキングコンダクター 日本心臓血管外科学会国際会員 |
坂野 比呂志 | 日本外科学会認定医・専門医・指導医 心臓血管外科専門医(修練指導者) 日本脈管学会脈管専門医 胸部大動脈ステンドグラフト指導医 腹部大動脈ステントグラフト指導医 浅大腿動脈ステントグラフト実施医 下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医 |
研修指定施設
心臓血管外科専門医修練基幹施設
脈管専門医研修指定施設
外科専門医修練指定施設
循環器専門医研修施設
脈管専門医研修指定施設
外科専門医修練指定施設
循環器専門医研修施設
専門医制度と連携したデータベース事業について
病院医療の崩壊や医師の偏在が叫ばれ、多くの学会や団体が医療再建に向けて新たな提言を行っていますが、どのような場所でどのような医療が行われているかが把握されていない状況では、患者さん目線の良質な医療は提供できません。そこで日本では、関連する多くの臨床学会が連携し、わが国の医療の現状を把握するため、『一般社団法人National Clinical Database』(以下、NCD)を立ち上げ、データベース事業を開始することになりました。この法人における事業を通じて、患者さんにより適切な医療を提供するための専門医の適正配置が検討できるだけでなく、最善の医療を提供するための各臨床現場の取り組みを支援することが可能となります。何卒趣旨をご理解の上、ご協力賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
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全国多施設観察研究について
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関連情報
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2017年4月岡崎市民病院に循環器センターが発足しました。循環器チームとして内科と外科、多職種によるハートチームを結成し、協同して治療にあたります。
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岡崎市民病院の循環器センターが中日新聞(LINKED)に掲載されました。